遺言書の活用


遺言は相続発生の際に相続手続きをスムーズにすすめるものです。

遺言というと多数の方が“財産を誰に渡すか”ということがメインに考えてしまいます。

もちろん“財産を誰に?”ということは大事です。

しかし、実は不動産や預貯金などの“名義書換えや遺留品の処分などの手続き”も大変重要で、これらの手続きのために遺言を残すことも重要視されてきております。

遺言書がないと相続分の割合は?

遺言書がないと権利を確定することも、また手続きを行うことも面倒になります。

遺言書がない場合には原則として民法の規定に従い相続割合が決まってしまいます。

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例えば、ご主人がなくなり、奥様とお子さんが相続する場合には、以上のように半分が奥様、残りをお子さんでさらに半分ずつ分け合うことになります。

この例では、財産の帰属についてあまりもめないかもしれません。

でも次の場合はどうでしょうか?

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(ご本人のご両親がなくなっている場合を想定しています。)

お子さんがいない場合には、奥様とご兄弟が相続人になります。

そして、民法上の割合は奥様に4分の3、ご兄弟に4分の1が相続されます。

いつも付き合っている、親身にいろいろとお世話になっているご兄弟なら良いのですが、音信不通の兄弟の場合には、不合理な結果になることもあるのです。

この場合ですが、通常遺産分割協議書という書類を作成してご兄弟にも署名捺印をいただく必要があります。あまり仲の良くない兄弟姉妹から署名捺印(さらには印鑑登録証明書)をもらうのはとても負担を感じられる方が多いです。

遺言書がない場合の相続の手続きは面倒

遺言書がない場合には以下のような手続きが必要になります。

1.銀行預金

①銀行にて相続手続きを申し出て、相続手続きのための書類をもらいます。

(郵送のことがほとんどです)

②書類に記載をしますが、法律上の相続人の全員の署名捺印をもらいます。

③相続人全員の印鑑登録証明書をもらいます。

④必要書類をすべて銀行窓口に提出します。

特に、相続人全員の署名捺印をもらう点が大変になりますね。

なお、これについては記述のとおり遺産分割協議書を作成してこの書類に変えることが可能です。

2.不動産登記

①遺産分割協議書を作成して、相続人全員の署名捺印をもらいます。

(なお、相続人全員から遺産分割協議証明書という書類に署名捺印して集めることで代用することもできます)

②不動産登記申請書及び必要書類をすべて準備します。

③所轄の法務局に上記書類を提出します。

上記の手続きをみても、結局相続人全員の署名捺印が必要になることがお分かりなりますね。

相続人全員がお近くに住んでいたり、また親しい中で相続に納得が行く場合には問題は生じないと思われます。

しかし、相続財産の分割に全員が納得しない場合や、行方不明の場合などは一気に手続きが面倒になってしまうのです。

遺言書があるとスムーズに


民法の割合に縛られません

遺言書がある場合には、生前に作成されるものですから、遺言者ご本人の意図に従った相続が可能になります。

例えば、長男に不動産を継がせ、妻と次男には預金の一部を相続させるような内容にすることも可能ですし、長男に不動産を継がせる条件として、妻(長男の母)の面倒を見ることを付加することもできるのです。

このように民法の割合に従わず、自由な遺産分割の割合を指定できるのです。

※ただし、それでも、法定相続人の一部には遺留分として最低限もらえる割合があることにご注意ください。

手続きも簡単に

自筆証書遺言の場合には、相続発生後に裁判所にて検認手続を、相続人全員が集まって行う必要があります(なお、昨今の民法改正により2020年より始まる法務局における遺言書保管制度を利用すると検認手続が不要になります)。

検認手続は多少面倒ではありますが、検認手続を経ることができれば、銀行預金名義の変更・解約や不動産登記の名義移転手続きが可能になります。

公正証書遺言の場合には、検認手続の必要もなく、そのまま銀行預金名義の変更・解約、不動産登記の名義移転などの手続きが可能になります。

公正証書遺言では、他の相続人とのやりとり無しに手続きが進められる点で大変に手続きが簡便になるのです。

相続手続はできるだけシンプルに

以上のように、遺言書によって相続手続きはシンプルにすることが可能です。

相続手続きでもめないようにするためには、手続きをシンプルにするのが望ましく、また、そのためにも、遺言書を作成することをおすすめします。

吉崎行政書士事務所では、遺言書作成のお手伝いを行っております。

具体的には、以下の業務内容になります。

  • 相続人の確認・調査
  • 相続財産の調査
  • 遺言書案の作成(スムーズなまた、争いのない遺言書案を作成いたします)
  • 公証役場との交渉・打合せ
  • 公証役場での証人
  • その他付随業務・相談

※半蔵門オフィスまたは八王子近辺の場合には交通費はいただきません。

まずは、お問い合わせよりご予約を頂ますようよろしくお願い申し上げます。

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